親が亡くなった後、親の資産状況は確認できる?資産を調べる方法を解説

相続・贈与

亡くなった親の資産状況を知ることは、相続や遺産分割をするうえで非常に重要です。

ただ、資産状況を知るための十分な準備ができないまま親が亡くなってしまったという方もいるのではないでしょうか。

本記事では、「亡くなった親の資産状況の確認方法」について解説します。亡くなった親の資産状況の確認方法がわからない方は、ぜひ最後までご覧ください。

亡くなった親の資産状況を知る必要性について

親が亡くなった場合、相続や遺産分割、相続放棄などの手続きや話し合いをする必要が出てきます。

これらの手続きを行うにあたり、故人の資産状況を正確に把握することが重要です。

親の資産には預貯金だけでなく、生命保険やクレジットカード、証券口座なども含まれます。また、借金も資産状況に含まれるため、銀行や信用情報機関などからも借金の有無を確認することが必要です。

故人の資産状況を把握することは、適切な相続手続きを進めるための第一歩となります。

深い悲しみの中でなかなか気持ちがすすまないかもしれませんが、借金の確認など速やかに対応しなければならないケースもあるため、できるだけ早めに資産状況を確認していきましょう。

資産状況を調べるため方法について

資産状況を調べるための方法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

銀行口座の調べ方

親が亡くなった後の資産状況を確認する代表的なものとして、銀行口座の確認があります。全ての口座を把握したい場合、銀行の「全店照会」を活用するのがおすすめです。

「全店照会」とは、窓口で依頼をすれば同じ銀行の違う支店の口座を調査してくれる制度です。これにより、通帳が残っていない口座も照会することができます。

ただし、「全店照会」は全ての金融機関を対象にすることはできないため、それぞれの金融機関で手続きをする必要があります。

複数の金融機関から該当する口座を見つけ出すのは大変な作業です。そこで、まずは口座のありそうな銀行に目星をつけて、調査するのがおすすめです。

家に通帳がないか確認したり、ネットバンキングの履歴などがないかチェックしたりして、手がかりを探しましょう。もし手がかりがない場合は、親が居住していた地域の地方銀行や信用金庫、利用者の多いメガバンクを調査してみるのもよいかと思います。

口座が特定できれば、あなたが相続人であることを証明できる書類を揃え、銀行に申請を行います。

銀行への申請に必要な書類は一般的に以下の通りです。

  1. 親の死亡を証明する戸籍謄本
  2. あなたが相続人であることを証明する戸籍謄本
  3. あなたの印鑑証明書および実印
  4. あなたの身分を証明する書類(運転免許証など)

金融機関によって必要な書類は異なります。申請前にどのような書類が必要なのか、金融機関に確認しておきましょう。

クレジットカードの調べ方

クレジットカードの契約者が亡くなった場合は、すみやかにカード会社に連絡し、解約手続きを行いましょう。

解約手続きを行わないと、年会費などが請求され続けます。また、不正利用のリスクも発生する可能性があります。そのため、早めの解約手続きが必要です。

なお、クレジットカードそのものは相続の対象外となります。

故人のクレジットカードが手元にある場合は、契約しているカード会社に連絡して解約しましょう。カードの裏面に電話番号が書かれていることが多いです。

解約方法は会社によって異なり、電話だけで終わることもありますし書類の提出が必要な場合もあります。

カードがわかれば比較的スムーズに調べられますが、カードが見つからず、カード会社が特定できない場合もあります。そんなときは、まず銀行口座を確認して、取引履歴からカード会社を特定できないか調べましょう。

また、カードに未払いがある場合や有効期限が近づいている場合は、カード会社から督促状などの郵便物が届くため、カード会社を特定できます。

カード会社が特定できない場合は、信用情報機関を活用することができます。

信用情報機関については、以降の「借金、クレジットの残債」の項目で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

生命保険の調べ方

生命保険の有無を調べる際には、まず契約書などの書類を探し、それでもわからない場合は「生命保険契約照会制度」を利用するのがおすすめです。

生命保険に加入している場合、家に「保険証券」や「生命保険料控除証明書」といった書類がある可能性があります。

保険証券が見つからなくても、通帳から保険料が引かれていないか、生命保険会社名が入ったカレンダーやボールペンがないかなど、手がかりを探しましょう。

契約している生命保険会社がわかったら、まずは照会に必要な書類を揃えます。

一般的に、

  1. 死亡診断書などで死亡を確認できる書類
  2. 戸籍謄本など、個人と契約照会する人の関係性が確認できる書類
  3. 契約照会する人の本人確認書類

などが必要になります。

その後、生命保険会社に書類を持参して、契約者の契約があるかどうかを照会する流れになります。

書類がなかったり、通帳を見ても何もわからなかったりした場合には、「生命保険契約照会制度」を使うことができます。

「生命保険契約照会制度」とは、契約者が死亡などで保険金の請求を行うことができなくなった場合に、法定相続人や法定代理人が生命保険契約の有無を照会できる制度です。

この制度では、契約の有無のみが確認でき、生命保険契約の種類までは調査できません。生命保険協会のホームページにアクセスして、必要書類を請求し、その後インターネットや郵送で申し込む流れになります。

証券口座の調べ方

故人が株式を保有している場合、証券会社の口座も確認する必要があります。

相続人は、証券保管振替機構にて「登録済加入者情報の開示請求」という手続きをとることで、株式にかかわる口座について調査できます。調査は有料です。

証券保管振替機構とは、株券の保管や受け渡しを簡単にするために制定された機関です。略して「ほふり」とも呼ばれます。

「ほふり」で口座開設先の調査が完了したら、保有銘柄や保有株数についての詳細は証券会社に問い合わせましょう。

借金、クレジットの残債の調べ方

相続放棄の必要性を考慮する上で、借金の存在は重要なポイントです。

借金がある場合、相続人はそれを返済する義務が生じます。そのため、必ず借金の存在について確認する必要があります。

借金の種類はさまざまです。

例えば、銀行や消費者金融からの借金、クレジットカードの借り入れ、知人からの借金、そして親が連帯保証人となっていた場合の連帯保証債務などがあります。

まず、親の自宅や郵便受けを確認し、貸主との契約書や消費者金融からの手紙などが残っていないかを確認しましょう。

また、銀行の通帳に定期的な引き落とし記録がある場合は、それが借金の返済でないかも確認する必要があります。銀行やクレジットカード会社、消費者金融からの借金については、信用情報機関に問い合わせて調査することが可能です。

日本には以下の三つの信用情報機関があります。

  • JICC(株式会社日本信用情報機構)
  • CIC(株式会社シー・アイ・シー)
  • 全国銀行個人信用情報センター

それぞれの機関に必要書類を提出することで、開示請求を行うことができます。

三つの信用情報機関はそれぞれ独立して情報を管理しているため、借金を全て把握するために必ずそれぞれに対して情報開示請求を行いましょう。

まとめ

今回は亡くなった親の資産状況の確認方法について解説しました。資産状況の確認は相続などの手続きをとるうえで非常に重要です。

後回しにせず、なるべく早めに確認するようにしましょう。

銀行口座や借金などについて、「親から詳しく聞いておらず詳細がわからない」という場合でも、適切な機関に手続きをすれば照会できる可能性があります。

まずは故人の家や郵便物の中から手がかりになるものがないか確認し、手がかりが見つからない場合は今回ご紹介した方法を使って照会してみてください。

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