今増えている墓じまいで選ばれる永代供養墓の種類と特徴

体験談

最近お墓を維持できずに、墓じまいについて検討する人が増えています。

お墓を維持できない背景はさまざまです。継承する子どもがいなかったり、遠方にあるためお墓参りが難しかったりということで、お墓をどのようにすべきか考える方が多いようです。

墓じまいを検討するなかで、選択肢の1つに挙がるのが永代供養えいたいくようです。

永代供養とは、遺族の代わりに寺院や霊園がお墓の管理を永代に渡ってすべて行ってくれることをいいます。永代供養をすれば、将来お墓を継承する人がいなくなっても安心というわけです。

しかし、一口に永代供養といっても、永代供養墓の種類はたくさんあります。また、寺院や霊園によっても扱っている永代供養墓は異なり、費用も変わってきます。このため、永代供養を検討しても、どれが自分たちに合うのかがわからなくて、多くの方が頭を悩ませるのです。

今回は「永代供養に興味があるのだけど…」と、話してくれた麻子さんのケースをご紹介します。

お墓の管理は子ども任せ大丈夫?不安から検討する永代供養

麻子さんは先日久しぶりに友人のみどりさんとランチをしたときのことを話してくれました。麻子さんとみどりさんは、いわゆるママ友関係です。麻子さんの長男とみどりさんの長女が同じ幼稚園に通っていたときに仲良くなりました。

麻子さん
「私もみどりさんも、夫が仕事で帰宅が遅いことが多かったもので、子育てを必死でやっていたんです。幼稚園の帰りに一緒に公園で子どもを遊ばせるようになって、パパの帰りが遅いときは一緒に夕食も食べたりして。今考えると、家族みたいな感じでしたね」

子どもが進学した小学校は違ったけれど、その分本音で悩み相談ができる仲でした。2人の子どもたちが30歳になった今も、何でも話せる友人関係は続いています。

娘の出産を手伝うためにしばらく不在にしていたみどりさんは、会うなり初孫自慢をしてきました。

みどりさん
「久しぶりに赤ちゃんを抱っこしたけど、やっぱり小さくてかわいかったわー。自分たちが子育てしていたときは大変だったけど、ばあばになって責任がない状態で見ているといいもんよね」

と、みどりさんはスマホで孫の写真を見せながら言いました。

麻子さん
「いいわね!うちの息子なんて、孫どころか結婚すらまだまだという感じよ。私なんて、まだ息子がちゃんと食べているのか心配しているんだから」

麻子さんが少し大袈裟に言うと、みどりさんは笑いながら返しました。

みどりさん
「でも、まだ子どもの心配していられるのって少し羨ましいわ。なんかね、娘の出産を手伝いに行ったら、もう娘は違う家庭を築いているんだって実感しちゃってね。うちは一人っ子じゃない?娘は離れて暮らしているし、もう夫婦だけなんだってしみじみ思ったのよ」
麻子さん
「そういうもんかしらね」

麻子さんが頷くと、みどりさんが言いました。

みどりさん
「そうそう、あの子たちが通っていた幼稚園の裏山にお寺があったんだけどね。そこに永代供養の樹木葬ができたって聞いて、この間見に行ったのよ!」
麻子さん
「え?永代供養?幼稚園の裏にそんなものがあるの?」

麻子さんはみどりさんの口からお墓の話題が出たことに驚きました。

みどりさん
「そうなの。自分たちで好きな木を選んで、その下をお墓にするらしいの。永代供養だから、お寺がずっと管理してくれるんだって。ペットも一緒に入っていいって言われたから、うちのニャンコともずっと一緒にいられるし」
麻子さん
「え?何それ?樹木葬?私、考えたこともなかった」

麻子さんがうろたえていると、みどりさんはその様子に気づいて、補足説明をしてくれました。

みどりさん
「そのお墓を見に行ったら、幼稚園の園庭が見下ろせる場所だったのよ。建物は新しくなっていたけど、懐かしくって。あの園庭が見える場所で眠れるならいいなって思ったの。うちは夫が次男だし、私のほうも兄が継いでいるから、もともと入るお墓がないのよ。しかも、子どもは娘1人でしょう。お墓のことはずいぶん前から夫と話していたのよ」
麻子さん
「そうなのねー。へえ、幼稚園が見える樹木葬かー。なんか、みどりちゃんらしくてステキだわ」麻子さんが感心していると、みどりさんはわざとらしく言いました。
みどりさん
「今度見に行ったらいいよ!麻子ちゃんならウエルカムだよ!」

2人で「お墓にウエルカムって何よ」と、ひとしきり笑ったそうです。

麻子さんはみどりさんと別れたあとずっと、子どもたちが卒園した幼稚園の裏にできた樹木葬のことが気になって仕方がなかったと言います。

麻子さん
「みどりさんは入るお墓がないから気軽に決められるんだと思うんです。うちは夫の実家近くに夫のお父さんのお墓があって。私もそこに入るものだと思っていたので、違う選択肢があるということに驚いてしまって」

聞くと麻子さんは前々からお墓について不安に思っていることがあったそうです。

麻子さん
「夫の実家は岡山でとてもいい場所なんです。リタイアしたら夫婦でそこに移住してもいいと思っていたくらい。でも、お墓となると、話は別でしょう。うちの息子は東京でバリバリ働いていて結婚する気配もないし、岡山にお墓参りなんて来ない気がするんですよ。そしたら、あのお墓の管理はどうしたらいいのかしらって」

そこで、麻子さんはみどりさんから教えてもらった、永代供養樹木葬について調べたそうです。

永代供養墓には大きく2つのタイプがある

まずは、麻子さんは永代供養にどのような種類があるのかについて調べてみました。すると、永代供養墓の種類の多さに驚いたそうです。

そして、永代供養には大きく分けると2種類あることに気づきました。

  • 合祀型:ほかの方の遺骨と一緒に埋葬する
  • 個別安置型:個人や家族だけが埋葬される(従来のお墓に近い)

みどりさんが話していた樹木葬でも、大きなシンボルツリーの下に合祀するお墓と、夫婦や家族だけの区画があって個別のお墓の2種類がありました。

また、一般的に合祀型は費用が手頃で、個別安置型は場合によっては一般的なお墓と同じくらいの費用になることもわかりました。

麻子さん
「永代供養墓は安いというイメージがあったけれど、そうではないんですね。費用のこともしっかり考えなければと思います」

永代供養墓の種類と特徴とは?

遺骨を安置する場所はお墓の形態によって、永代供養墓にはたくさんの種類があります。代表的な例を挙げます。

合祀墓

大きなお墓や塔の下で骨壺から出した状態の遺骨をほかの方と一緒にまとめて埋葬するお墓です。寺院や霊園などで「永代供養」や「南無阿弥陀仏」などと書かれている大きなお墓を見たことがある方もいるかもしれません。それが合祀墓です。

メリットとしては、埋葬するための費用が安く、一度納骨してしまえば管理費なども必要ないことが挙げられます。一方デメリットは、ほかの人とまとめて合祀しているので、後から取り出すことはできません。

樹木葬(合祀型・集合型・個別型)

自然に還るということで人気が高い樹木葬には、さまざまな種類があります。

まず、合祀型は合祀墓と同様にほかの方の遺骨と一緒にまとめて埋葬する方式を取ります。一般的な合祀墓との違いは、墓石や塔ではなく大きな木の下で眠ること。埋葬料や永代使用料はリーズナブルですが、遺骨が後から取り出せない点に注意しましょう。

集合型は、合祀型のように大きなシンボルツリーの下に埋葬しますが、木の下で区画が分かれていて骨壺のまま埋葬します。ほかの人の遺骨とは混ざることがなく、場合によっては遺骨を取り出すことも可能です。

個別型は、一般のお墓のように個人・家族単位で区画が別れているお墓です。区画ごとに樹木を植えて、その下に遺骨を埋葬します。寺院や霊園によっては、樹木ではなく花を植えてガーデン風になっていたり、ペットと一緒に永眠できたりします。個別型は名前のプレートなどが飾られ、故人が眠っている場所がわかりやすいのがメリットです。樹木葬のなかでは、最も費用がかかる埋葬方法です。

従来の墓石のお墓 + 永代供養

寺院や霊園によっては、従来のお墓(墓石のお墓)を永代供養してくれるケースもあります。見た目は従来通りのお墓なので、新しいタイプのお墓よりも抵抗感が少ないという方も多いようです。

すでにお墓をもっている方は、お墓を管理している寺院・霊園が永代供養をしてくれるかどうかを個別に訊ねてみるとよいでしょう。新しく墓石のお墓を建立して、永代供養にする場合には、墓石や建立にかかる費用と別に永代供養の料金が必要になります。料金や期間、条件などは寺院・霊園によって異なるので、気になるところがあれば問い合わせをしてみましょう。

納骨堂

納骨堂とは、屋内型のお墓のことです。屋内なので天候に左右されずお墓参りができるので、人気が高くなっています。バリアフリーになっている建物も多く、お墓参りがしやすいのもメリットです。

一口に納骨堂といっても、ロッカーのように細かく区画分けされたものや仏壇が並んでいるような霊廟タイプ、手続きをすると専用スペースで遺骨と対面できる機械式など、寺院によってさまざまなものがあります。

納骨堂によって料金は異なりますが、使用区画が小さいロッカー型は比較的リーズナブルで、大きな区画の霊廟タイプやハイテクな機械式は使用料が高い傾向にあります。また、多くの場合、永代供養の料金とは別に年間使用料や管理費が必要です。

永代供養墓について調べてはみたものの、麻子さんは余計によくわからなくなったと言います。

麻子さん
「永代供養のお墓が想像以上にたくさんあって、どれが私の理想なのかよくわからなくて。費用だって、お寺によってだいぶ違うみたいだし、全部問い合わせていくのは大変ですね。みどりさんみたいに、ここだっていうものが見つかればよいのだけど」

永代供養墓って実は期間限定なの?

永代供養墓は「永代」という名前ですが、永久に契約した状態のお墓を管理してくれるという訳ではありません。

寺院・霊園や契約内容によって異なりますが、17回忌、33回忌、50回忌などで遺骨を安置する期間を区切って、その後は合祀墓に移されるのが一般的です。

最終的には合祀されるので永代供養ではありますが、ずっと家族だけの区画で永眠したいという気持ちがあるなら、注意しておきたいポイントといえます。よく検討して、将来「こんなはずじゃなかった」と、ならないようにしておきましょう。。

永代供養を検討するなら家族で話し合うことが大切

永代供養のお墓を検討するなら、まずは家族と話し合うことが大切です。縁起でもないからと、普段家族でお墓やお葬式について話さないという家庭は多いでしょう。

しかし、夫婦や親子でも、お墓についての考え方は異なります。

「私は合祀でもよいと思っていたけれど、主人はよその人と一緒は嫌だそう」や「我が子のようにかわいがってきたワンコと一緒のお墓がいい」など、改めて話すと人によって考え方は違うものです。

「お墓がある場合はそのお墓に入るのか?」それとも「もっと便利なお墓に移転するのか?」など、家族で意見を一致させる必要があります。そのうえで、家族の希望に合うお墓を選んでいきましょう。

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